2019年4月~2020年2月
書とイラストレーションの融合
ツール:ClipStudioPaint、Phothosop、ホルベイン/パールセントカラー(アクリルガッシュ)
制作期間:約1年
芸術大学の通信教育課程の、卒業制作で作った5枚組のパネルアートで、
「日本の祭」をモチーフに、勢いのある書とイラストレーションの組み合わせで 日本文化のカッコよさを表現することをコンセプトとした作品です。
タイトルについては、日本の祭に関連する「「御神輿」「巫女舞」「和太鼓」をキービジュアルとして、
音の響きが同じでありながら意味や形が異なる「行進」「降神」「交信」の3つの漢字を
イラストレーションと融合させ、ビジュアル的に表現したこため、 それらの共通項である音の響きだけをとって『KOUSHIN』にしました。
[仕様・構成]
5枚組パネルのキャンバスアート
中心のサイズ:400mm×1000mm、両脇のサイズ:400mm×800mm、両端のサイズ:400mm×590mm
高さはセンターで揃えて配置する作品です。
パネルの高低差をつける事で、作品と見る側の間の臨場感を上げるのが狙いです。
また、部屋に飾った時のインテリア作品としても、オシャレに見えるようにしたかったというのも理由の一つです。
中心3つのパネルにはそれぞれ左から、神話時代の三貴神である素戔嗚尊、天照大神、月詠命を描いており、
イラストの情景やキャラクターのポーズは、まず書が先にあり、草書で書かれた「行進」「降神」「交信」の字体に沿うように設計しています。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「行進」
イラストの内容は祇園祭のお神輿が進んでいく情景で、神輿に祀られているのは左から
西御座神輿・・・素戔嗚尊の子供、八柱御子神 (やはしらのみこがみ)を乗せた神輿
東御座神輿・・・素戔嗚尊の妻である櫛稲田姫命(くしなだひめのみこと)を乗せた神輿
中御座神輿・・・素戔嗚尊を乗せた神輿
素戔嗚尊はヤマタノオロチの生贄にされるはずだった櫛稲田姫命を、妻にすることを条件にヤマタノオロチを退治したという神話があります。
この「行進」では、素戔嗚尊にヤマタノオロチが退治されるシーンと「行進」の字体を重ね、蛇の胴体や素戔嗚尊が剣を付きたてるポーズを決めました。
なお、左端の背景に描いているのは八坂神社鳥居です。
「降神」
イラストの内容は、神田祭の巫女舞のシーンで、巫女舞によって神が巫女に降りてくる情景と、 降神の草書の形を重ね合わせています。
降臨する神は天照大御神で、「降」の字体が出来てからポーズを決めました。
「神」の字体には天照大御神の衣装と、巫女のポーズによってこの渦巻のような形を際立たせています。
なお、神田祭で巫女が手にしているのは榊の枝ですが、これも文字の形を見せるために扇に変更しました。
(扇は浦安の巫女舞で使われているものです)
「交信」
太鼓は、音によって民衆の声を神へ届ける道具として使われてきたため、 イラストの内容は、太鼓を叩く音を月詠命が耳をそばだてて聴いているシーンです。
「交」はあぐらをかいたポーズに似ていると感じたため、足と腕の角度を字体に合わせてます。
このイラストの月詠命は、他の神と比べてひっそりと描いていますが、それは原作である「古事記」「日本書紀」でも記述が少ない謎多き神であり、
夜に潜むようにして、そっと民衆の声に耳を傾ける姿の方がしっくりくるように感じたためです。
「信」は太鼓を叩くポーズのように見えたため、太鼓隊のポーズを全体的に「信」絡められるように調整しています。
なお、イラストは大阪の天神祭をベースにしており、印象深いのは大花火と屋形船です。
これらは夜のシーンとの親和性が高く、夜の世界を統べる月詠命にマッチしていると思われます。
なお、天神祭の太鼓隊は、実際には大きな太鼓台を大勢が担ぎ、そのに乗っている人たちが大きな太鼓を一斉に叩きながら街中を練り歩くのですが、
太鼓隊は「信」の字体に合わせる都合上、一般的によく見られる太鼓隊で表現しています。
0コメント